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2011.10.13 鳥越俊太郎さんとお会いして   

 昨晩は、7時40分からの鳥越俊太郎さんの講義でした。その前に、6時から大学院ゼミ生のみでの懇談会から出席いたしました。テレビのニュース解説等でお馴染みの方ですが、最近のご著書「がん患者」(講談社)が発刊されたように、大腸がん発症後、4回の手術をされています。懇談会は10名ほどで話を伺い、私も質問もさせて頂きました。

 ご自分は、ジャーナリストと言わず「ニュースの職人」と言われています。マスコミ関係だと日本人は皆、ジャーナリストと名乗るが、共通理解ではないと。現場で取材をし続けていくこと、発信していくこと、の強いこだわりをここまで著名な方ですのに。日本では年を重ねると管理職になる、現場の記者は若いものばかりと。戦場も何回も取材に行かれ、徹底的に現場へ身を置いた取材姿勢でいらっしゃるとあらためて教えていただきました。

  ご自身は「直感」、理屈ではないことから、たくさんの本質をとらえるニュースを発信されてきたこと、これは、どこからくるか?経験だと言われました。
 つまり、直感はエゴではない、安易な思いつきでもない、何十年と現場に身を置き、現場で闘い、現場で痛い思いもし、危険にも合った計り知れない経験から生まれたものだから価値があるのだと、私には聞こえてきました。

 私ごとになりますが、カラーセラピーという道具を活用するにあたり、毎回の研修や講演会では多数の方の色、描画へコメントさせていただきます。「あたってて驚きました」と言われますが、確実にそれは直感なのです。20代の研修トレーナーの時代から何千人と関わってきました。それは、小手先では通じない、人間へ、誠実に全身で向き合う体験でした。
 今現在も、お一人おひとりと出会い、その人生の深い歴史の歩みを思うとき、私の全人生を賭けて対峙する以外、何の策も神秘もありません。その時、大いなる直感が来ると言えます。限りなく正直で、限りなく素直に人が見れたら、自分の覆いがひとしきり外れるのです。
 そのための訓練が、カウンセリング技法ひとつひとつを丁寧に意識しながら傾聴し続けるという、見えない膨大な一言を大事にする積み重ねだと思います。
 
 鳥越さんのお話は語りつくせませんので、またお会いできましたとき、講座でも語らせていただきますが、がんと向きっていらっしゃるこの時にも多くの方々へ身を持って講義をしてくださる鳥越さんから、私たちが示唆を得ることは何か?

 自分をつくれ、と教えていただいていると思うのです。
 「上手い文章とは?」という問いに、鳥越さんは「全部、自分が出る、何の本を読んできたか、どういう生き方をしてきたか、全部その自分が言葉になる」というようなことを言われました。
 ありきたりの言葉を使わないこと、だと。

 私が師と仰ぐ、大学院の大熊由紀子教授の教えも全くその通りです。「自分の体の中にある言葉を搾り出すこと、自分の言葉で語ること」だと。
 
 私自身も、私以外の誰かの言葉を使うのではない、自分の言葉でおこなう養成講座、講演会、研修、そして文章を搾り出すことを、ずっと貫いてきました。本の内容も講義もカラーワークも、その言葉は、どこにもないもの、先人の大いなる学びを基盤とした、基礎理論に忠実に、その上で発明できたものです。
 
 講座に来られる全ての方に言うことは「いよいよ自分になっていくだけ」と。それは、自分の言葉の発明なのです。自分が欲しいものを自分の言葉を発明して、手にするプロセスのことなのです。

 だとしたら、私たちは、なんであれ、ここまで生き延びてきたことの中に、自分自身の中に、全ての宝と資源があります。
 誰とも比較する必要のない、自分の格闘の日々の中で積み上げた言葉が潜んでいるのです。
 その言葉を探し当て掘り当てる作業こそ、「自分を大事にする」ということだと思っています。

 癒し、ということばで美化するのではなく、自分の本質を探し当て、言葉としてふるまいとして使うとき、私たちは自分を抱きしめることができます。それは限りなく愛しく、計り知れないほど優しく、信じられないほどの希望を呼び寄せるからです。それは、私であり、あなたです。

 鳥越俊太郎さんの講義から、このような示唆を頂きましたことに、心より感謝と尊敬を込めまして。
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鳥越さん直接のお写真は失礼ですので、映像に写っっているお姿を。お元気で若くて、実際の年齢なんて考えられない格好よさでした!長く長くお元気でご活躍くださいと祈り続けます。

by kireijuku | 2011-10-13 11:37

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